【制作の裏側】彦根城
こちらの記事では、彦根城制作の裏側を少しだけご紹介します。
衝撃の事実
先日、関西の大学生連中で通話していたときのこと。
ヒロくん「これとこれって、横に出てるポッチの高さが微妙に違うんだよね。」
チケくん「あ〜〜、それあるよね。」
ホレス「えええええ!?!?!?!?!?えっ!?!?そうなん!?!?」
souくん「へえ、そうなんだ!」
かいくん「笑笑」
…1人だけ明らかに動揺している人がいます。
というのも、石垣のキーになる部分でこの組み方をしていたからです。
図解するとこんな感じ。
Studioでは問題なく組めます。
確かに違和感を覚える瞬間はありましたが、上からゴムハンマーで叩いて解決していました。力こそパワー。
最終的に接着剤を使ったこともあり、物理的には何も問題ありませんでしたが、今後は可能な限り避けようと思います。
分割構造
今回の作品は、巡回展示ができるよう、階層ごとに分割して運搬できる構造にしました。
構造材はテクニックのビームで補強したほうのがよかったかなと思いつつ、求めていた強度は確保できたのでよしとします。
贈呈式
作品を納品するにあたり、贈呈式の場を設けていただきました。
すごく特別な時間でした。
滋賀県のページにも取り上げていただきました。
県庁の職員の方を含め、めちゃめちゃ笑顔になってくれたのが嬉しかったです。
日本建築のケーススタディ
僕は普段からレゴで日本建築を作っているわけではないので、ある程度の作例を事前にリサーチしました。
実はレゴ彦根城、伊藤さん(僕世代のレゴファンならわかるはず)が15年前に制作されています。
今回のご依頼の要件も「伊藤さんverよりもコンパクトに」というものでした。
伊藤さんによる作例のほか、世界中のレゴファンの日本建築を研究したのですが、先日souくんが僕の完全上位互換のケーススタディをやっていました。
あのNotionページがパブリックになったら、レゴで日本建築を作るときの入門書として全力で推薦します。
Studio最高
今回の作品は、すべてStudioで設計しました。
制作期間が年末年始とかぶっていたので、移動中や実家への帰省中もMacで作業することができ、制作の助けになりました。
そもそも作品自体が大型なので、どちらにせよフィジカルで設計するのは不可能だったように思います。
制作に詰まったときは、わずかな隙間時間でMacを開いて音楽制作に取り組むSkrillexの姿を見て、元気を出しました。
このドキュメンタリーは2017年公開。当時から場所に縛られないアウトプットに憧れていたので、Studioでようやくそれが実現できたことになります。
なんとなく嫌な予感がしたので「この部分は実物を組んで調整しよう」みたいなことは避けて、詰めることができる部分は限界までStudioで設計しました。
いざパーツが届くと組み立てるだけで精一杯になり、強度とか考えている場合ではなくなったので、結果としてこれは大正解でした。
どこまで攻めるか?
今回の制作では、いただいたご依頼の要件を読み解き、それを高いレベルでクリアする必要がありました。
いちばん重要なのは、強度と見た目の両立です。
本来であれば、屋根にヒンジやウェッジプレートを使ったりして、トリッキーな組み方も試したいなと考えていました。
岡山城 月見櫓 by Sunho Park(クリックでFlickrに飛べます)
しかしそれでは強度とトレードオフになりますし、要件に対してトゥーマッチな表現なので、現在の瓦屋根や石垣の組み方に落ち着きました。
いわば「『枯れた技術』(いい意味で使われる言葉です)を使って、どこまで攻められるか?」みたいなことを考えるのは楽しかったです。
初・接着剤
今回制作したのは展示用の作品なので、仕上げとしてパーツの接着も行いました。
ちょうど5本を使い切りました。
液体自体の粘度は低く、意外と使いやすいものの、はみ出ると跡がかなり目立ちます。
長めの筆があると、瓶底の液体も取れるので便利だと思います。
そして、本当に死ぬほど時間がかかりました。
接着を手伝ってもらうために、ほぼ毎日のように誰かをホレスハウスに呼ぶ、という期間があったくらいです。
みんな本当にありがとう。
珍走・発送
作品を滋賀県庁に納品するにあたって、160サイズの段ボールが必要でした。
しかし友達がみんな多忙で、誰も車を出してくれなかったので、僕が1人でコーナンへ買いに行きました。
結局、Cinelli Mash Boltのフロントラックに160サイズの段ボールを固定し、横風に煽られながら帰宅しました。
圧が強すぎて、道中で町の人々が道を譲ってくれたのが申し訳なかったです。
感想
今回の制作を担当できたのは、本当に光栄なことでした。
家族や友達も喜んでくれたので、やってよかったと思います。
技術的にも、これまでやってこなかったことに取り組めたので、めちゃめちゃ楽しかったです。
僕は、自分の好きなものや影響を受けた思想を後世に残したいです。
遺跡の石板に刻み込んであるみたいに自分の思想をレゴに反映させて、子どもたちがそれを見て育ってくれるといいなと思っています。
この作品の展示を見た子どもたちが、彦根城の魅力だけでなく、レゴそのものの魅力にも気づいてくれると嬉しいです。
そりでは!